「朝食抜き!ときどき断食!」渡辺正

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朝食抜き!ときどき断食!

 

私たち人間の体には、自然治癒力という自ら健康になろうとする能力が、太古の昔から備わっています。

薬などに頼らなくても、体の声に従えば、健康でいられるようにできているのです。

自然治癒力を高める第一歩は、朝食を抜いて、腸内をきれいにすることからはじまります。

 

長寿の国に学ぶ

長寿で有名なコーカサス山脈のふもとの国、グルジアの老人たちは、今でも一日二食の習慣を守っています。

また、グルジアの老人たちは一回目の食後には午睡をとり、夕食後も早く寝る習慣です。

食事をとったあとは、体のリズムを考えても眠くなるのが当たり前で、睡眠に関しても人間の生理をよく考慮した習慣が

根づいています。

時間に追われる現代人にとって、午睡をとったり、就寝時間を早めたりするのは不可能ですが、一日二食の習慣は取り入れることができます。

先人たちの歴史に学び、一度試してみる価値はあるのではないでしょうか。

 

栄養過多の現代人

豊富な食料が手に入れられるようになったのは、何万年、何十万年という人類の歴史を考えればごく最近のことです。

日本人が一日三食を基本とするようになったのは、江戸時代に入って町人文化が花開いた頃からです。

狩猟時代には、毎日獲物が手に入るとは限りません。

農業が発達しても、天候不順で作物がとれないのは

特別なことではなかったでしょう。

人類の歴史は飢えとの闘いの連続だったといっても言いすぎではないわけです。

そうした時代を生き抜くなかで、人類には、体に栄養分を蓄えるという力が備わっていったのです。

ですから、たとえ数日間ものを食べなかったとしても、生き延びることは可能です。

さまざまな緊急事態に備えて、体には幾重にも非常線がはられているので、朝食を抜いたくらいでエネルギー不足に

陥ることはありません。

むしろ栄養過多の現代人には、朝食を抜くぐらいのほうが肥満予防になっていいのです。

 

午前中は「排泄モード」

起きてすぐの体は、前日までの余分な脂肪や栄養素を消費する、いわば「排泄モード」なので、食べ物を補給することより、排泄を優先するほうが理にかなっています。

また、午前中は腎臓系の器官が活性化する時刻で、血液中の老廃物や毒素をろ過して、尿中に捨てるという作業がさかんに行われます。

つまり、私たちの体は午前の時間をフル活用して、体の掃除に努めているのです。

ですから、この掃除の時間に食べ物か入ってくることは、内臓にとっては大迷惑です。

排泄もしなければならないと同時に、いっぽうでは消化吸収をするように要求されます。

すると、腸内には消化しきれなくなったかすが宿便としてたまり、それがさまざまな病気の原因となります。

朝食をとらなければ、空腹時に腸を動かすモチリンというホルモンが分泌されます。

これにより腸は収縮しますから、便が出やすい状態になります。

もし、便秘に悩んでいたら、朝食を抜いてみるといいでしょう。

 

長生きしたければ腸を清くせよ

腸壁に宿便がたまると、腸内環境はどんどん悪くなります。

宿便は、憩室という腸のしわやくぼみの部分に入ってしまうので、下痢をしたり、便秘解消のために下剤を飲んでも、なかなか排泄されることはありません。

ところが、栄養分が入ってこないと細胞は収縮するようになっているので、このメカニズムにのっとって断食をすると、腸は収縮し、腸内に停滞していた余分なものが押し出されるのです。

朝食抜きの習慣は、腸をきれいにする正しい健康法だと言えると思います。

 

ときどき断食で体内を浄化

私たちの体には、自分自身の力で体の異常や故障を治し、健康な体を保とうという自然治癒力が備わっています。

そのなかで、欠かすことのできない療法がときどき断食をすることです。

断食のもっとも重要な効用は、宿便を一掃し、腸をきれいにすることです。

ある程度の周期で規則的に断食を実践していくと、体はずいぶん変わります。

宿便だけでなく、毒素や老廃物も出ていきますから、肌もきれいになるでしょう。

そして何より、減量になります。

断食の結果、たまっていた宿便が出るとともに、血液やリンパに広がっていた老廃物や毒素がすべて流れ出して、体内が浄化されます。

さらに断食を定期的に行うと、体の排泄能力が格段に高まり、宿便がたまりにくくなってきます。

静脈系の血管は収縮して、血液の流れがよくなります。

血液がきれいになると自然治癒力が高まって、喘息やアトピーなど、完治が難しいとされているアレルギー性疾患も改善されていくのです。

 

断食は精神の休養にもなる

断食の目的と効果について、精神面まで含めて考えると、じつはもっと奥深いものだと思います。

断食は、その文字が示すとおり、「食」を「断つ」ことを意味しますが、広く考えるなら、欲を断つということです。

これほど飽食の時代のなかで、食を断つということがどういうことなのか、ときに生活観、人生観まで変えることがあります。

それほど奥深いものなのです。

忙しく生きる現代人にとって、断食は精神の休養にもなるのではないでしょうか。

 

 

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渡辺 正 講談社 2003-12-19
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渡辺 正
1923年、山梨県に生まれる。北海道大学医学部を卒業。医学博士。渡辺医院院長。西医学研究所所長。対症療法のみで、病氣の根本を見ない現代医学に疑問をもち、本来体に備わった自然治癒力を高めることで病気を根本から治す西医学の考え方に賛同し、独自の医療活動を実践。腸をきれいにすることを重視し、長年の臨床経験をもとに、朝食抜きの食生活を治療のベースとする。著書には『西医学による現代病への挑戦 理論と治験例』(光和堂)、『医薬にたよらない健康法』(農山漁村文化協会)、『朝食をやめて健康になる』(光文社)などがある。
 

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