『1日5分「簡単ヨーガ」健康法』番場裕之

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1日5分「簡単ヨーガ」健康法

ヨーガと呼吸

ヨーガは「呼吸」のあり方を極めて大切にしています。

呼吸の状態が身体や心の状態と深い関係にあるからです。

なによりも、呼吸はいのちの象徴であり、生きている証なのです。

呼吸を深く繊細に調えてゆくことで心は自ずと安定していきます。

「気」のもと「元気」が蓄えられて、身体的にも充実してきます。

「息長ければ命長し」ともいうように、出息の長いヨーガの呼吸を行うことで、 精神的な落ち着きを取り戻し、豊かな人生を送ることができます。

ヨーガでは「心身一如」の思想、つまり身体と心を含めた全人格的な一体感を目標にしているのです。

「ゆらぎ」とは、大自然の運行の中にある独特なリズムや波動を表す言葉です。

我々が心地よいと感じるもののほとんどに、この波動が含まれているといいます。

私たち人間も、そうした大自然の運行の中から生を受けてきました。

ヨーガの呼吸は、私たちが忘れがちな生体リズムを取り戻すことのできる「ゆらぎの呼吸」なのです。

続けていくことで、大自然の運行と一体化した生体リズムを取り戻し、本来の「ゆらぎの呼吸」を体得していくことでしょう。

 

気の運行

ヨーガの最大の特徴は「気の運行」があることです。

ヨーガでは常に、「物理的な粗大なもの」と「実体のない微細なもの」を説きます。

『般若心経』でいう「色」と「空」の関係です。

身体も粗大身、呼吸も空気と「気」、そして心だけでなく「本当の自分(真我)」のように事象を多元的にとらえているのです。

ヨーガの実修により、粗大な「肉体」や「呼吸」に働きかけることで、微細な「本当の自分」の姿と「気」をつかみ取ることができます。

目に見えるものと見えないものが補い合ってこの世があるという「色即是空」の見方がとても大切です。

 

人間総合科学としてのヨーガ

ヨーガはインドで発祥し、進化発展してきた全人格的な実修体系です。

人の「身体」「心」「魂」を総括的にバランスのとれた状態へ導いてくれます。

ヨーガを行う場合は呼吸が重要な位置を占めています。

呼吸を中心にして前屈、反り、ねじり等の体位法を行うのは、何よりも自分自身と向き合うためです。

0~1歳までの成長のプロセスや人類の生命記憶に至る「生命的な里帰り」を行えば、「気の充実」と「絶対的安楽」を得て、「苦悩」から解放されるのです。

ヨーガは、苦悩から逃れ、さまざまな幸せを築く方法を教えてきた哲学です。

その方法論としての実修を備えた極めてよく完成された「人間総合科学」だといえます。

 

オーダーメイド・ヨーガの必要性

ヨーガは、伝統的にいくつかの姿をもっています。

「自らの居住まいを調えるヨーガ(禁戒・勧戒)」

「体位法を中心としたヨーガ」

「呼吸によって気を調えるヨーガ(調気法)」

「心を安定させるヨーガ(瞑想法)」

「浄化法ヨーガ」

「声を出すことによる癒しのヨーガ」

「念じるヨーガ 」

いずれもスピリチャル、精神性の強いものです。

ヨーガの目的は決して身体の健康のみを求めるものではありません。

体位法や呼吸を媒体として、身体も心も魂も、さらには社会も含めてすべての領域で解放をもたらしてくれるものなのです。

「アーユル・ヴェーダ」でも「精神的な病はヨーガによって癒される」と記されているほどです。

 

「気」を調えるヨーガ(調気法)

私たちは意識しなくとも、呼吸によって「気のエネルギー」も同時にいただいています。

この「気」を意識するのとしないのとでは、呼吸の質に大きな差が出てきます。

「気」を大切にして呼吸が上質なものとなれば、日々の生活も人生そのものも豊かになります。

いかなる障りも打ち消すような「気のエネルギー」を充分に堪能してください。

精神的充実と深い関わりが出てきます。

強く感じれば感じるほど、その効果も高くなります。

「新しい気」を満たすために、息を出しきって行うことが特徴です。

「呼主吸従」というように、呼吸は出すことがとても大切です。

入れ替えるためには、「古い気」を出しきらなければなりません。

ヨーガの実修では「極」が大切です。

たっぷりと満たすことと完全に出しきることです。

この両極を充分に感じることにより、無限に広がってゆく内的空間を感じとり、大きな呼吸のうねりと

「故郷と安らぎの母なるリズム」の運行に乗ることができれば人生を変える契機になることでしょう。

 

 

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番場裕之(ばんば ひろゆき)
1966年、京都府に生まれる。東洋大学文学研究科(インド哲学)博士後期課程満期修了、文学博士。日本ヨーガ光麗会会長。幼少の頃より佐保田鶴治師(大阪大学名誉教授、インド学)、番場一雄師に師事してヨーガの実践指導を受ける。人々の健康と真の幸福のために、各地の研修会場で実践指導を行っている。また、ヨーガの理論と実践の融合のために、研究活動もおこなっている。2003年8月に「第二代目瑜祇雄弘」を襲名。同年9月、「NHK生活ホットモーニング 冬を乗り切るヨーガ」講師を務める。

 

 

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