真理のことば『ダンマパダ』
原始経典『パーリ語三蔵』のうちで、最も日本の仏教徒に親しまれ、有名な仏典は『ダンマパダ(法句経)』ではないでしょうか。
『ダンマパダ』は、人間そのものに対する鋭い洞察と反省を端的に述べ、人生の指針となるような金言に満ちております。
ものごとはこころにもとづき、
こころを主とし
こころによってつくり出される。
もしも清らかなこころで
話したり行ったりするならば
喜びはその人につき従う。
影がそのからだから離れないように。
第二次世界大戦後、1951年に行われたサンフランシスコ講和条約締結のときに、スリランカの代表が次の第五詞句を引用し、日本に対する一切の賠償請求権を放棄し、大きな反響を呼びました。
じつはこの世において
怨みに報いるに怨みを以てしたならば
ついに怨みの止むことがない。
怨みをすててこそ止む
これは永遠の真理である。
『ダンマパダ』第三章に「こころ」と題する詞句があります。
仏教徒だけでなく、インドの宗教家たちもこころのコントロールにこころを砕きました。
こころは捉えがたく
軽々とざわめき
欲するがままにおもむく。
そのこころをおさめることは善いことである。
こころをおさめたならば、
安楽をもたらす。
こころは、非常に見がたく
大変に微妙であり
欲するままにおもむく。
英知ある人はこころを守りなさい。
こころを守ったならば
安楽をもたらす。
ブッダを語る (NHKライブラリー)
前田専学著