高血圧は少しも気にすることはありません。ほっとくのが一番です。
上が200を超える極端な場合を除き、何ともありません。
心配する必要はまったくないのです。
今や「高血圧症」といわれ、患者数は約5500万人もいるとされる。
日本人の成人の半分以上が、「高血圧症」という病気なのだ。
しかし本人は痛くもかゆくもなく、どう見ても健康なのだ。
ただ、血圧という数値が、基準より高いだけである。
通常、人が気にする程度の血圧が、重い病気を引き起こす可能性はゼロに等しい。
「高血圧症」とは、製薬会社の利益のために作った、虚構の病だといえる。
血圧は気にしない
血圧は気にしないほうがいい。
血圧を気にすることは、それ自体ストレスであり、そのマイナス思考が、かえってさまざまな病気を招くのだ。
ガンも脳卒中も心臓病も、最大の原因がストレスなのは、いうまでもない。
この世には、たくさん健康法がある。
私の説く高血圧に対する健康法は、じつに簡単である。
放っておく。
たった、これだけである。
血圧心配性から自由になれば、身も心もすこやかになれる。
「高血圧症」という詐欺商法
高血圧の基準値は、たった8年で50も下がっている。
2000年までの基準値は、実質、上180mmHgだった。
それがどんどん下がり、2008年には130になっているのだ。
今は、130を超えると、その人は「高血圧」と判断される。
「病人」として、医者に生活上の指導を受け、降圧剤を処方されるのだ。
基準値を下げることは、いうまでもなく患者を増やすことである。
基準値の操作は製薬会社にとって、大金を生む打ち出の小槌なのだ。
脳梗塞の本当の原因
なぜ、高血圧はいけないといわれるのか?
一つには「高血圧は脳卒中を引き起こす」ということが、常識になっているからだ。
確かに脳卒中は、命を脅かす恐ろしい病気だ。
脳卒中は、ガン、心臓病に次いで死因の第3位。
日本人の死因の約15%を占める。
1999年度の調査によると、脳卒中を起こした人のうち、脳梗塞が84%、脳溢血が13%、くも膜下出血は3%だった。
脳梗塞の原因になる血の固まりは、脳の血管に生じるものだけではない。
心臓でできた血の固まりが、血流によって運ばれ、脳の血管を詰まらせることもある。
脳梗塞は高血圧が原因といわれるが、そうではない。
むしろ、血圧の低いときに起こる疾患である。
脳の血管が詰まりかけたとき、体は懸命に血流を勢いよくし、血のかたまりを吹き飛ばそうとする。
血圧を上げて、脳を守ろうとしているのだ。
薬で血圧を下げることは、命取りなのだ。
東海大学医学部名誉教授・大櫛陽一氏の研究によれば、「降圧剤を飲んでいる人は、飲んでいない人に比べて脳梗塞の発症率が2倍になる」という。
降圧剤を飲むと、ガンになる
なぜ降圧剤を飲むと、ガンが増えるのだろう?
理由は、血圧を下げる仕組みにある。
降圧剤にはいくつかのタイプがあるが、カルシウム拮抗剤は、免疫力を弱めてしまう。
そのため、普通なら摘み取っていたガンの芽を放置してしまうのだ。
免疫力の低下によって、増えるのはガンだけではない。
もとより、ほかのさまざまな病気も引き起こす。
このような観点からも、降圧剤をできる限り控えるべきだと考える。
加齢とともに血圧が上がるのは常識
血圧が加齢とともに上がるのは、医学の常識である。
年を取ると誰でも白髪が増えたり、皮膚がたるんでシワができたりする。
同じように、血管も年を取ると硬くなる。
「動脈硬化」である。
動脈硬化は、血管の加齢現象なのだ。
動脈が硬くなると、拡張・収縮しにくくなり、それだけ血液を送りにくくなる。
脳や手足の隅々まで血液を送るために、心臓は血圧を上げて、勢いよく血を送り出しているのである。
加齢によって血圧が上がるのは、当然なのである。
それを薬で下げたら、脳や手足の先に血が回らなくなって、ボケたりふらついたりしてしまう。
実際、降圧剤を飲んでいる人に服薬を止めてもらうと、ほとんどの人が「頭がすっきりした」という。
めまいや手足のしびれがなくなったという人も多い。
高齢者は、160~180でも大丈夫である。
加齢で硬くなった血管に血液をめぐらせるためには、そのくらい高い血圧が必要なのだ。
人間の体は、薬など及びもしない絶妙なコントロールを行っているのである。
肥満が病気をつくる
血圧やコレステロールがどうしても気になるというなら、それらを下げる一番簡単で確実な方法は、痩せることだ。
太っているということは、心臓に負担がかかり、血圧が上がるのも当然だ。
ましてや降圧剤を飲むのは、危険だ。
肥満の人が標準体重になれば、病気になる確率は低くなる。
多くの人が悩まされる腰痛、膝痛も改善される。
肥満の原因は、運動不足ではない。
食べるから、太っているのだ。
ダイエットの基本は減食である。
食べれば太る、食べなければ痩せる、それだけが真実だ。
健康を害する要因はストレス
健康を害する最大の要因は、ストレスである。
あれこれ気にするより、ゆっくり「骨休め」すること。
現代人に一番必要なのは、結局これではないだろうか。
疲労はストレスである。
体はストレスと戦うために血圧を上げる。
薬を飲むより先に、十分に睡眠をとり、休むことが先決だ。
これだけでも、ずい分違う。
病気の不安はきりがない。
心配したら、それだけ医療費は雪だるま式に膨らんでゆく。
それよりも、ストレスを取るためにお金を使ったらいかがだろうか?
そのお金で、旅行に行ってのんびりしたり、落語を聴いて思いっきり笑うとか、おしゃれをしておいしい物を食べにいくとか、ストレス解消やプラス思考になることにお金を回したほうが、ずっと賢明ではないだろうか。
高血圧は病気ではない
高血圧は病気ではない。
それを無理やり薬で下げれば、重い病気が起こりやすくなるのは当然だ。
また、病気ではないものを、病気と言い立てれば、人はマイナス思考に陥ってしまう。
そのマイナス思考がストレスになり、大きな病を招くのだ。
人間の体は、やわではない。
それは実に強いものだ。
しかも、どんな治療や薬よりも、ずっと賢く自身を調整している。
血圧のことは、きれいさっぱり忘れてください。
そうすれば、身も心も健康になれます。
高血圧はほっとくのが一番 (講談社プラスアルファ新書) | ||||
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松本光正
1943年大阪生まれ。 北海道大学医学部卒業後、医療生協浦和民主診療所勤務・所長を経て、1995年おおみや診療所所長に就任。2009年から関東医療クリニック院長。高校2年生の時に中村天風の最晩年の弟子として指導を受ける。以降、天風会の講師としても活躍。