作家・佐藤愛子の30年にわたる超常現象との壮絶なるたたかい
心霊世界の実相を伝えるとともに
精神が病む日本人に警鐘を鳴らす渾身のメッセージ
それは北海道に山荘を建てたときから始まった。
不気味なラップ音、深夜の足音、電燈の明滅、ペットの不可解な死・・・
様々な超常現象に見舞われ、山荘は文字通り「バケモノ屋敷」と化した。
その山荘はかつて日本人に滅ぼされたアイヌの集落があった場所であった。
そして、アイヌの神さまが祀られていた聖地でもあった。
アイヌの怨みが地縛霊となり、佐藤家を30年にわたり悩ますのであった。
佐藤家もアイヌと深い因縁があった。
佐藤家の先祖にアイヌを苦しめた者がいたのである。
そのため佐藤家の先祖の魂は、苦しみ続けていたのである。
また、佐藤家の先祖にかつて豪族がいて、弱い人々を苦しめた怨念により佐藤家のカルマが作られたのであった。
そして、・・・・佐藤愛子の前世はアイヌの女酋長であった。
ここに集まった霊たちは、アイヌの怨念ばかりでなかった。
北海道開拓時に酷使された囚人や屯田兵などの怨念も一緒になって大きなカルマを作っていた。
「そのときはさし迫っていた。」
「異常な激しい現象は、私に事態がさし迫っていることを認識させるためのものだった。」
「私を導いてここまで連れてきてくれた人」
美輪明宏さん、大西弘泰氏、相曽誠治氏、中川晶蔵氏、江原啓之さん
懸命に浄化を試みる霊能者の真摯な姿。
怨霊と化したアイヌの慟哭
一族を惨殺されたアイヌの無念さが胸をつく。
すべて「はからい」だった
「アイヌの怨霊を鎮めて先祖の魂を救う役割を私に与えて縁もゆかりもない北海道に唐突に家を建てる気になったのはそのためだ。」
この国に漂う不安と不満
人間は物質主義に走り、自然を破壊し、大地を汚濁に染めている。
天変地異は「神の警告」であるという。
日本人のこころも年を追うごとに荒廃し少年犯罪も増加の一途をたどる。
神戸の酒薔薇聖斗の殺人事件、西鉄バスジャック事件・・・
「自分の中の自分が人を殺せといっている」
かつてなく人のこころは「悪霊に憑依」されやすくなってきている。
大切なことは
一人一人が自分の波動を上げることだった
一人一人の波動が上がれば社会の波動も上がり
国の波動もあがるのだ
心霊世界の実相を伝えること
それが私に与えられた使命だった
私の遺言 (新潮文庫) | ||||
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佐藤愛子(さとうあいこ)
大正12年大阪に生まれる。甲南高女卒業。戦後「文芸首都」の同人となり、小説を書き始める。昭和44年「戦いすんで日が暮れて」で第61回直木賞を、昭和54年「幸福の絵」で第18回女流文学賞を受賞。ユーモアに彩られた世相諷刺と、人生の哀歓を描く小説及びエッセイは多くの読者のこころをつかむ。父の作家・佐藤紅緑、異母兄の詩人・サトウ・ハチローを始め、佐藤家の人々の凄絶な生の姿を描いた大河小説「血脈」の完成に対して、平成12年第48回菊池寛賞を受けた。