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「ミュータント・メッセージ」マルロ・モーガン

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ミュータント・メッセージ

 

私はふとしたことから、オーストラリアのアボリジニ部族<真実の人>族とともに、120日間の砂漠を歩く旅に出た。

彼らは、何も持たずに生まれ、何も持たずに死ぬ。

灼熱の大地に生きてなお、真の豊かな人生を送る旅の途中で、ひとつずつ気づかされていく本来の地球と人類の姿。

私は文明人に伝えるべく人類5万年の生きる知恵を託されたのだ。

 

旅の間、私が呼ばれることになった名前は<ミュータント>。

本来ミュータントとは、突然変異体という意味である。

だが、彼らが言うミュータントととは、昔の記憶や宇宙の真理を忘れたり、心を閉ざしている人のことを言っているのだ。

彼らがオーストラリアに少なくとも5万年前からいることは科学者も知っている。

5万年間も彼らが森林を滅ぼすことも水を汚染することもなく、動物や植物の種を絶滅させることも、ゴミで汚すこともなく、その間ずっと豊かな食べ物と日陰を与えられてきたのは驚きというほかない。

 

その日はアポリジニが自然とどれほど巧みに調和して暮らしているか学ぶことができた。

彼らは地上のすべてのものは理由があって存在すると信じている。

変種、順応できないもの、偶然はありえない。

彼らは土壌の歌、または声にならない声を驚くほど敏感に聞き取った。

宇宙からのメッセージを受信する小さな装置でも持っているかのように的確に行動する。

 

この<真実の人>族の行く手には必ず食べ物がある。

彼らの祈りに宇宙はつねに応じるのだ。

この世界は豊かなところだと彼らは信じている。

この部族は食料を持ち歩かない。

作物を植えたり収穫したりしない。

その日の糧は宇宙から与えられると確信して焼けつくオーストラリアのアウトバックを歩くだけだ。

宇宙が彼らを失望させたことは一度もなかった。

 

彼らの感覚はほかの文化圏で育った人々の限界をはるかに超えている。

彼らの聴力、視力、嗅覚は超人レベルだ。

砂の上に残された足跡が発する霊気が彼らには伝わるのだ。

 

毎日みんなが無言で歩くわけが、ようやくのみこめた。

この人々はテレパシーで通じ合っているのだ。

何の音もしないのに三キロも離れた人同士がメッセージを交換しているのだ。

この部族がテレパシーを活用できるのは嘘をついたことがないからだという。

彼らは自分たちの心を開くことを恐れず、互いに進んで情報を交換しようとする。

私がいる世界の人たちは「心を開く」ことなどとんでもないと考えている。

ごまかし、傷つけ合い、苦々しい思いにみちあふれているからだ。

 

彼らが物欲をまるで持たずに、いかに豊かな人生を生きられるかということを知った。

人生はセルフ・サービスだということも教えられた。

自分の人生を豊かにするのは自分であり、そうしようと思えばいくらでも創造的で幸せな人生が送れるのだ。

彼らはよく笑い、泣くことはめったにない。

彼らは健康で生産的な人生を長く生き、精神的な土台にも揺るぎがない。

 

私は左脳の世界からやってきた。

論理と判断、読み書き、数字、原因と結果を学ばされた。

その私が今は右脳の現実世界で、高度な教育概念などとは無縁の人々と一緒にいるのだ。

彼らは右脳の大家で、創造力と想像力、直感と精神的な概念を活用している。

彼らは意思の疎通に言葉はいらないと考え、テレパシーや祈りや瞑想といった方法で通じ合っている。

この部族の人間なら、あらゆる生命をつかさどる宇宙意識と一対一で声に出さずに話し合うはずだ。

私たちはみんなひとつだ。

ひとつとなって自然のうちに生きているのだ。

 

私たちが考えるべきなのは、彼ら部族の平和で意味のある価値観を取り入れることだ。

私たちは過去を取りもどすことに集中すれば、世界の未来はもっと明るくなるはずだ。

私たちが物質主義を見直し、彼らのやり方を取り入れるよう望んでいる。

そうなったとき人類は天国に一歩近づくと彼らは信じている。

私たちはそう願いさえすれば、世界中の飢える人々に食料を配るテクノロジーと、すべての人に自己表現の手段や自分の価値を自覚させる教育、非難場所を供給する知識を持ち合わせているのだ。

 

 

ミュータント・メッセージ (角川文庫)

マルロ モーガン 角川書店 1999-04
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by ヨメレバ

マルロ・モーガン Marlo Morgan
本作『ミュータント・メッセージ』で衝撃的にデビュー。ニューヨークタイムスのベストセラーランクに31週エントリー。24ヶ国で刊行され、世界的ベストセラーとなる。今なお、各方面でさまざまな反響を呼んでいる。最新作は双子のアボリジニの成長物語『永遠からのメッセージ』(角川書店より刊行)。

 

 

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