大祓詞(おおはらえのことば)は、日本書紀に初めてそのことばを見ることができ、奈良時代以前から既に存在していました。
神社信仰の唱え詞としては、1200年前から今に至るまで、祭りに際して必ず唱えられる詞とし、最も長い生命を持ちつづけています。
神社信仰は日本民族が伝統的に、かつ発展的に持ちつづけて来たものです。
大祓詞は、民族の信仰と同時に、民族の発展のあり方をも物語ったものでもあります。
わずか900字のの短文でありながら、日本民族の信仰及びその生活の知恵の要点だけは、余さずこれを盛っているのです。
祓いとは
元来、祓いというのは、けがれを去って清浄になること、その清浄の究極は神から授けられた本来の自己、すなわち神心に帰ることにあります。
すなわち死の問題を契機として、本来の自己、人生のあり方を明らかにするのが祓いであります。
結局、祓いということは、けがれをあがない、新しい生活の出現と発展とを祈るものだということになります。
祓いには、大きな慈愛をもって、新しい人生を創造し、人々の罪を進んであがなう、救いと悲願とがこめられているのです。
大祓の終極の目的
大祓は、個人の祓いはもとより、社会全体の祓いを終局の目的とします。
神道では特定の個人だけが救われれば、それでよいという考え方はとりません。
大祓詞は雄大な叙事詩風に書きなし、朗々とこれをよみ上げ、あるいは祈りをこめるものにとっては、その罪・穢れが遠い世界に祓いやられ、清い自分が恢復する感を与えずにはおけません。
大祓詞は祖神の心を心として実行するならば、祖神は必ずや、その人々の罪を許し、祓い清めでくれるという信仰で一貫しています。
その意味で、人の一生は祓いに始まって、祓いに終わるといってよいのです。