正しい「呼吸」を行えば、あらゆる病を治療させる力となります。
なぜなら、現代病の多くが、細胞の酸素不足から生じているからです。
健康を保つには、毛細血管のすみずみまで、酸素を行き渡らせることが重要となります。
ところが、現代人はストレスによって毛細血管を縮めて、スムーズに酸素を運ぶことができずにいます。
また、不自然な姿勢をするため、血流を阻害し、ストレスに対して弱くなっているのです。
健康を保つには、身体のすみずみまで酸素を行き渡らせることのできる全身呼吸「氣の呼吸法」が有効です。
氣の呼吸法は、神道のみそぎの呼吸法「永世の伝」から来たものです。
氣の呼吸法の特徴は、心身統一して行う呼吸、つまり自然体で行う自然な呼吸であることです。
毛細血管に至る身体のすみずみまで血流が良くなるので、糖尿病の人は血糖値が下がり、冷え性や花粉症なども克服できます。
心が静まることで、自律神経失調症やうつなども克服できるのです。
人間は天地自然と一体である
人間の始まりはいったい何だったのでしょうか。
無限に小なるものから生じてきたということです。
その無限に小なるものの無限の集まりを総称して「氣」と言いいます。
太陽も地球も草木も動物も、また人間の心も身体も皆、この「氣」より生じたということになります。
この天地自然の本質である「氣」から、さまざまな相互作用が起きて、現在の天地自然が形成されたのです。
私たち自体、天地自然と一体であり、私たちの生命は、天地自然の生命の一部なのです。
氣は出せば入ってくる
氣は、私たちの中に実在する無尽のエネルギーです。
それを上手に活用することで、よりよい人生を築く鍵をなります。
真の「充実した人生」とは、天地の氣が心身ともに充実している人生と言えます。
私たちは「天地自然の一部」なので、自分の氣と天地自然の氣が常に交流しているのが当たり前です。
「天地の氣」と「五体の氣が」よく交流していることを「生きている」また「息をしている」と言います。
人間は氣を出すから、天地より新たな氣が入り、天地の氣と五体の氣が交流するのです。
常に天地の氣と交流することにより、人間の生命力は高まり健康になるのです。
天地自然は、生成流転して瞬時として止まることはありません。
天地は常に動いています。
自分の心の状態を知る
氣の呼吸法を日々行うと、呼吸が静まるとともに心が静まります。
心は波静まった水面の如く、すべてのものを明らかに映し出します。
心の状態は水面と同じで、不安や動揺、緊張などで波立っているときは目の前のことを何も見えなくします。
水面が静まっていると、鏡のように、月は月として鳥は鳥としてあるがまま映し出すのです。
一番大切なことは、私たち人間の本来の姿、すなわち天地自然に生かされている事実に氣づくことです。
そうすることで、天地自然に対する感謝の心を私たちに思い出させるのです。
心身統一の四大原則
心身統一とは、「天地自然と一体になる」ということです。
天地自然の理に合わないことをすると、天地自然からのメッセージとして、自分や自分を取り巻く環境に何らかの不調を来たします。
心と身体は一つのものなので、心身ともに、天地自然の理に合った使い方をすることが不可欠です。
心身統一を誰でもできるようにまとめたのが「心身統一の四大原則」です。
この四大原則は天地自然と一体になるための具体的な方法です。
<心身統一の四大原則>
一. 臍下の一点に心をしずめ統一する
二. 全身の力を完全に抜く
三. 身体の総ての部分の重みを その最下部におく
四. 氣を出す
内呼吸を同時に行う全身呼吸
「氣の呼吸法」で、常に呼吸を整えることにより、精神を安定させて健康を保つことができます。
呼吸には大きく分けて二つあります。
一つは、肺から外界へ吐き出す「外呼吸」もしくは「肺呼吸」。
もう一つは、肺に入った酸素を、血流にのせて全身くまなく毛細血管のはしばしにまで送り、また、そこに生じた二酸化炭素や老廃物を肺まで運びかえる「内呼吸」があります。
「氣の呼吸法」とは、外呼吸と内呼吸を同時に行う全身呼吸法です。
心身統一した姿勢で行うことによって、全身の血液の循環が良くなります。
生命力が高まる
氣の呼吸法を行えば、全身に生命力がみなぎり、プラスの心と身体となります。
また、全身の息を入れ替えるばかりでなく、氣の修練のうえで、大きな意義があります。
自分の吐く息が、目前で消えるのではなく、天地自然の果てまで及ぶのだと思って吐く。
すなわち、氣を出して吐くのです。
そして、体内の氣を悉く体内に取り入れ、臍下の一点におさめる。
このとき、全身に、清新の氣が充満するのです。
自分が呼吸しているというよりも、天地自然の氣と交流している感覚を持っています。
氣の呼吸法―全身に酸素を送り治癒力を高める (幻冬舎文庫) | ||||
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藤平光一 (とうへい・こういち)
1920年東京下谷生まれ。慶應義塾大学卒業。病弱のため、強い心と身体を求め、「禅」や「みそぎの呼吸法」を修行。十九歳の時から合氣道を学び、最高段位十段を得る。世界中で心身統一合氣道を普及。2011年5月永眠。現在は息子・藤平信一が継承者として普及活動を続ける