「人生生涯小僧のこころ」塩沢亮潤

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「人生生涯小僧のこころ」塩沢亮潤

 

行とは行じるものではなく「行じさせていただくもの」

人生とは生きるものではなく「生かされているもの」

行とは、あるいは人生とは、ひとつひとつの見えない徳を積み上げていくものではないかと思います。

 

喜びを得るために生まれた

人は苦しむために生まれてきたのではございません。

苦しみの中から喜びを得るために生まれてくるものだと思います。

人が悩み苦しむのは、頭でわかっても心の中がモヤモヤして、物事をなかなか実践できないからです。

それでもあきらめずに人を思いやり、丁寧に生きていると、やがてそれぞれの人生の中に、心の中に、素晴らしい悟りの花と出会える日が来ると思います。

また、そのために人はこの世に生まれてくるのではないでしょうか。

 

あえて苦しみの胸元へ

私は苦難に遭うといつも「これが自分の日常なんだ」と考えるようにしております。

すると、一種の暗示効果で「あっ、こんなものか」と思えるのです。

逆に、何でこんな苦しい目に遭わなくてはいけないのだろいうかと思うと、不平不満が次から次へと口をついて出てまいります。

与えられた環境を特別なものだと思わず、それを日常と考えて適応していくようにすることがとても大切なのだと思います。

自分からその苦しみの胸元に飛び込んで、素直に正直に謙虚に生きてみるのもいいと思います。

苦しみの中に身を投じてみるというのは、環境をそのまま受け入れるということです。

現実を受け入れ愚痴らず、精いっぱい生きると、そこに道が開けてくるものだと思います。

自分の気持ちで進んで乗り越えさせていただこうと思えばいい縁も広まってまいりますし、自然と笑顔も出てまいります。

最も重要なポイントは、人を恨まない、人を憎まない、人のせいにしない覚悟を持つことです。

神さま仏さまはいついかなるときでも、人の心を見ておられます。

 

感謝の心を導く

人生というのは、思いどおりにならないようにセッティングされています。

それをどう克服するか、そこからどう感謝の気持ちを導いてくるかが大切です。

たまたま生まれ落ちたところが、自分が今置かれている環境なのだと思います。

自分の境遇を顧みて、神さま仏さまは不公平だとつい言ってしまうかもしれません。

でも、おそらくそうではございません。

神さま仏さまは、この私たち一人ひとり、ありとあらゆる生き物の心の中に、『仏性』という種を授けてくださいました。

その種は、悟りをひらくことができる素晴らしい種です。

その種を大きな木に育てられるのかどうかは、一人ひとりの心のちょっとした転換にかかっています。

 

大自然に抱かれ、大自然に守られて生活しておりますと、ひとつの定まった方向性のようなものに気づきます。

「良いことをすれば良いことが返ってくるし、悪いことをすれば悪いことが返ってくる」

ただそれだけのことなのです。

この授けられた命を精いっぱい生きること、それが神さま仏さまから私たちに与えられたプレゼントなのではないかと考えております。

 

生きていく上で一番大切なもの

「人間が生きていく上で一番大事なもの」とは、「足ることを知ること」と「人を思いやること」の二つです。

与えられた環境をありがたく受け入れるということ。

この環境は自分が神さま仏さまから授かったプレゼントだと思うことです。

自分に与えられた生活が、今の自分に授けられた最高のものなのだと思い、感謝の心を持つことにより、人生は大きく変わってくると思います。

大自然の母なる大地に抱かれているすべてのものは、たった一人だけで存在することは決してできません。

自分を取り巻くありとあらゆるものが、相互関係によって絆を結び合っております。

そこで大事なのは、すべてのものに対する感謝の気持ちを持つこと。

そしてそれに加えて愛情を持つことです。

愛情も与えることにより自分にも返ってきます。

お互いが思いやりをやりとりしながら、大自然の微妙なバランスの中で調和を保って生かさせていただいているということを、心に刻む必要があると思います。

 

心を込めて実践

人生とは常に挫折と挑戦の繰り返しです。

上手でも下手でも心を込めて実践することに人生の意義があるように思います。

みんなで幸せになれるように、それぞれ自分のできる範囲内で努力をしていけば、必ず道は開けると信じております。

 

 

人生生涯小僧のこころ
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塩沢亮潤(しおざわ りょうじゅん)
昭和43年仙台市生まれ。61年東北高校卒業。62年吉野山金峯山寺で出家得度。平成3年大峯百日回峰行満行。11年吉野・金峯山寺1300年の歴史で2人目となる大峯千日回峰行満行を果たす。12年四無行満行。18年八千枚大護摩供満行。現在、仙台市秋保・慈眼寺住職。大峯千日回峰行大行満大阿闍梨。共著に『大峯千日回峰』(春秋社)がある。

 

 

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