フローとは自分と他人や世界との垣根を取り払い、宇宙と調和して生きているという実感を味わわせてくれる、努力とは無縁の自然な人生の開花である。
フローに乗って泳ぐことを覚えると、さしたる苦労もせずに楽々と人生を渡っていくことが可能になる。
ストレスや葛藤がなくなり、不安が鎮まり、深い満足感や喜びを感じられるようになるのだ。
フローは人生を変える莫大な力を秘めている。
水のように、それはたえまなく活動しながらも、同じ姿を崩すことがない。
川の流れを操作できないように、フローも押したり、圧力をかけたりすることはできない。
フローは、わたしたちが全体の大きな流れの一部であることを語りかけてくる。
日常は興奮の連続になる
人生においてフロー体験が増すと、「シンクロニシティ」と「幸運な出来事」も増える。
シンクロニシティは、偶然の出来事だけに限定されるものではない。
なんらかの出来事の前触れになる夢や、同時にほかの場所でおこっている出来事についての知るはずのない情報を知らせてくれる夢をもふくんでいる。
「幸運な出来事」は物事が重なって、驚くほどうまく働くときに生じる。
それらは原因と結果で説明できる。
フローがあなたの生き方になれば、そうした瞬間が人生を満たすようになる。
あなたの日常は興奮と驚きの連続となり、畏敬の念に満たされるが、心はいたって穏やかである。
一瞬、一瞬が過不足なく、完璧に思えるのだ。
シンクロニシティがフローを招く
シンクロニシティはフローへの恰好の入口である。
シンクロニシティに注意していれば、人生を充実させるフローの力を、特別なものとしてではなく、日々生きるための糧として利用できようになる。
ひとつは、わたしたちの個性をきわだたせ、それぞれの人間の独自性を存分に発揮させる力になるということである。
その一方で、シンクロニシティはわたしたちをより大きな全体にむすびつける役割も果たす。
自分を超えて、他者や宇宙と有意義なきずなをむすべるようになるとき、わたしたちはフローに生きるようになるのだ。
意味はひとりでには発生しない。
個人の選択と行為によって生じる。
偶然の出来事に意味を見出そうとするとき、フローの力に通じる扉が広々と開け放たれる。
フローによって変わる人生
フローな生き方を通して、心の自由を獲得し、元気になっていく人たちは、大きく分けて三つの成長の段階を通過する。
第一段階 自分を知る
習慣的な行動パターンに縛られてきたかに気づき、束縛から逃れはじめる。
これは自分自身を内側からつくり直すプロセスである。
自分自身に素直に生きる生き方を身につけていく。
第二段階 他人とつながる
フローに生きていると、次第に「私」に固執することが少なくなり、「あなた」がクローズアップされるようになる。
すでに自分の内側に幸福があるので、最大の関心事は他人の幸せに移行する。
見返りを期待せずに、無条件で他人を愛せるようになる。
「われわれ」がもっとも重要なものとなり、他者と自分との間に、いかなる距離感も相違も感じられなくなる。
第三段階 自分を超えた全体とひとつになる
他人への奉仕に専念するようになると、さらに自分が広がっていく。
わたしたちは大きな何かにつながっているように感じる。
この段階では、シンクロニシティが日々の友となる。
奥深い自分の本質的な部分に触れるので、フローが人生を導くようになる。
自由で自然体の楽しい開放的なフローの人生を送ることが可能となり、あらゆる可能性にむかってわたしたちは開かれる。
シンクロニシティを超えて
フローが自分の人生のリズムとなり、性質になると、興味深いことがおこる。
シンクロニシティが特筆すべき出来事ではなくなり、人生がいくえにも重なる偶然の一致に満たされるのだ。
そのとき、すべてがシンクロニシティとなる。
フローはもはや、わたしたちがそれと調和しようとする対象でなく、ただのエネルギーとなる。
休むことなくわたしたちを貫き、わたしたちがこの世での運命をまっとうするのを助けてくれるエネルギーである。
あなたは、発見、喜び、歓喜、自由、そして最後に一体性へといたる旅の途上にいる。
結局、あなた自身がフローなのである。
くつろいで信頼してほしい。
そうすれば、フローはおのずから生じる。
パワー・オブ・フロー | ||||
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チャーリーン・ベリッツ
デンバー大学及びコロラド大学デンバー校で人間科学を教える学者。企業や大学でセミナーも行っている。
メグ・ランドストロム
ジャーナリスト。心理学からニューエイジまで、人間科学のあらゆる分野について全米の雑誌や新聞に寄稿、高い評価を得ている。