僕が生まれたのには 理由がある
生まれるってことには みんな 理由があるんや
僕の手の上に 宇宙がある
僕の身体の中にも 宇宙がある
小さなありのからだの中にも
いくつもいくつも 宇宙がある
僕はここにいるけれど 宇宙を思えば 宇宙へ行ける
ここにいても どこへもいける
大ちゃんとは養護学校で出会いました。
大ちゃんが話す言葉を聞いたり、大ちゃんの詩を読んだりすると、大ちゃんは私の知らない「大切なこと」や「本当のこと」を知っているのかなと思うことがあるのです。
私は大ちゃんの心が、宇宙か何か大きなところとつながって、大ちゃんにいろいろなことを知らせてくれているのかなと不思議なことを思うのでした。
必要だから「そこにある」
お寺で講演する機会があり、お坊さんとたずねました。
「さとるってどういうことでしょうか?」
「『なむあみだぶつ』ってどういう意味でしょうか?」
お坊さんはおだやかにていねいに教えてくれました。
「どういうことを『さとられた』のかというと、どんなことも、なるようになっているということです」と言いました。
「『なむあみだぶつ』とは、人がむなしく生きなくてすむように『もの』や『こと』や『ひと』も与えられるようにまわりにあらわれて、出会うことができるということです。
まわりにある『もの』や『こと』や『ひと』も、みんなその人に必要だからそこにあるということです」
お坊さんが言っていることは、いつも大ちゃんや、学校の子供たちが教えてくれていることと同じだと思いました。
「昔の人は、どうしてそんな大切なことに気がつけたのですか?」と、お坊さんにたずねたら、お坊さんはまた優しくほほえんで「それは、本当のことだからです」と言いました。
本当のことだから、昔の人は知っていて、親鸞さんも知っていて、大ちゃんや子供たちも知っている・・・。
本当のことだから・・・。
いつかのいい日のために
「大きな力」に宇宙の秘密や法則があるとしたら、「どんなことも、きっといつかのいい日のためにあるんだ」というのがそのひとつであるように思うのです。
もしかしたら、病気とか障害というものは、「大きな力」が、宇宙や地球や、人類の困難を助けるため生み出したものなのかもしれません。
事故やいろいろな悲しみや苦しみもまた、いつかのいい日のためにあり、その人がむなしく生きなくてすむように、いろいろなことや、いろいろな人と出会うべくして出会うのかと思うのでした。
宇宙の声に耳を澄ます
いったいどういう仕組みで、私たちは宇宙とつながり、宇宙からの声を聞くことができるのでしょう。
「宇宙」とつながりやすい人とつながりにくい人のことを思うとき、考えるのは、回路の幅やアンテナのことです。
宇宙からの情報は、ラジオの電波のようにいたるところに届いていますが、チャンネルを合わせていないだけなのかもしれません。
あるいは感覚の回路の幅の外にあって、なかなかそのことに気がつくことができないのかもしれません。
大きな客船が事故で沈む前にねずみが港へ逃げ出すという話は、不思議な超能力のように思ってしまいそうだけれど、実は宇宙からの情報は、だれのそばにもあることなのかもしれません。
「大きな力」があるところ
どこか特定の場所に神様がいるわけではなく、それはすべての生き物の心の奥にあり、その一つひとつが宇宙をつくっているのです。
宇宙はひとつの命で、私たちはそれぞれ宇宙の大切な一部分なんだと、そう思ったのです。
一人ひとりが、宇宙のその大きな力、神様をつくっているということがわかった今、叫びたいようなうれしい気持ちなのです。
物語の主人公は、あなた
私たちにも、同じように、夢があり、気持ちがあり、そのときどきの「今」を生きています。
私たちを包む大きな宇宙は、宇宙のストーリーというものを持っていて、私たちはそのストーリーに従って『もの』や『こと』や『ひと』に出会いながら生きているのです。
私たちの生き方は、物語とそっくりです。
それでも、私たちの明日は、私たちが今日・明日をどうしようかと決めたことによって、変わっていくことは間違いないことです。
私たちの宇宙という冒険の本は、誰か一人がその中の主人公で、ほかの人は脇役だということはないのです。
私には私の過去と現在と未来があり、私だけの物語があるし、あなたにはあなただけの物語がある。
そしてその中では、いつだって、自分が主人公なのです。
私は私で大正解。
私は私で大成功。
私だからこそ感じられることがあるし、私だからこそ出会えた人がいる。
私だからこそできることもある。
私は私の人生を、力一杯、きらきら輝きながら生きていきたいと思います。
そうすればきっと私の明日が、素晴らしい宇宙の明日につながっていくのに違いないのです。
私は、本当の「私」になれ、私なら、きっとできる!
だってね、私は私だけの、冒険物語の主人公なのだもの。
本当のことだから―“いつかのいい日のため”の宇宙の秘密 | ||||
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山元加津子(やまもと かつこ)
1957年金沢生まれ。エッセイスト。愛称かっこちゃん。富山大学を卒業後、小学校の先生を経て、養護学校の先生をしている。「みんな理由があって生まれてきたんだから」が信条。「好き好き、大好き」を基本においた出会いを大切にして、「生きていると嬉しいことがいっぱい」の毎日を追究している。『たんぽぽの仲間たち』『ゆうきくんの海』(ともに三五館)など著書いっぱい。