わたしたちは自分にあたえられたレッスンを学ぶために、地上に生まれてきました。
そのレッスンとは、愛、恐れ、時間、力、喪失、幸福、人間関係、真の自己に関する基本となる、宇宙の普遍的な真実のことです。
最悪の事態に直面したときに、人間は成長します。
状況が最悪になったときにこそ、最良のものをみいだすことができるのです。
そのレッスンの本当の意味がわかったとき、幸福で意味のある人生も見出すことができるのです。
あなたの本質はもっとも純粋な愛であり、壮大ともいえる完全性です。
あなたは自分を癒し、自己がだれであったのかを思い出すために、地上に生まれてきたのです。
愛のレッスン
愛こそが、人生の中でただひとつの真実です。
愛は幸福の源泉であり、われわれの内部にあるいのちとを結ぶエネルギーです。
愛は、真にあたえることのできる唯一のものです。
自己のたましいを育み、自分自身への慈しみのこころをもつことこそが、本当の愛への第一歩です。
愛はあらゆる障壁を、とりのぞくことができます。
愛は神的な経験であり、聖なるものです。
愛はわれわれの周囲にあり、望めば手にすることができるのです。
明け渡しのレッスン
人は自分を明け渡すことによって、限りない平和をみいだすことができます。
人生はなるべくしてなるということに気づけば、自然に肩の力がぬけてきます。
なぜこんなことが起こるのかと、疑問に思うときもあります。
しかし宇宙は、困難な状況をあたえることで、人間を癒そうとしているのです。
自分を明け渡す方法は、手を放せばいいだけです。
自分の願望イメージをすて去り、宇宙がもたらしているものを受け入れることです。
宇宙を信じることを学び始めたときに、初めて本当のリラックスが訪れます。
人生には、自分ではどうしようもない事態に、巻き込まれるときがあります。
自分を明け渡す必要があるのは、そのようなときです。
安心できないとき、それが明け渡すときです。
行き詰まったとき、それが明け渡すときです。
これまでの人生を振り返ってみて、最高の瞬間、最大のチャンスは、思いがけないところからきたのではないでしょうか。
人生とはそのように展開するものなのです。
許しのレッスン
許しは、苦痛や傷を癒す方法であると同時に、再び他者と自己とを結びつける方法です。
人はだれでも傷ついたことがあります。
そして、他人を傷つけたことがあるはずです。
問題は、その傷をを忘れようとしないところにあります。
許しが必要とされる理由はそこにあります。
許すことによって、本当の自己に戻るための自由を得ることができるのです。
許しとは、毎日つづけていく精神のトレーニングです。
精神的/霊的生活の保守点検作業のようなものです。
許すことによって平和がえられ、愛が維持できるのです。
最終レッスン
最初から最後まで、人生は学校です。
ひとりひとりに必要な試験が課せられています。
学べる限りのことを学びきったとき、ほんとうの家に帰ることができます。
喪失は「何が大切なのか」、愛は「本当の自分とは何か」を教えてくれます。
恐れ、怒り、罪悪感、忍耐、時間でさえ、偉大な教師になりうるのです。
自己の真の姿を知ることが、一番大切なのです。
いまの人生と同じ人生は、二度と手にすることはできません。
今回の生かぎりです。
いまこそ、それを、しみじみと見てほしいのです。
ライフ・レッスン (角川文庫) | ||||
|
エリザベス・キューブラー・ロス(Elisabeth Kubler-Ross)
医学博士、精神科医。ターミナルケア(終末期医療)、サナトロジー(死の科学)のパイオニア的存在であり、その成果をまとめた著書『死ぬ瞬間』は世界的ロングセラーとなった。また、はじめてみずからの人生を綴った『人生は廻る輪のように』(角川書店)も大きな話題を呼んでいる。アリゾナ州在住。2004年8月24日永眠する。
デーヴィッド・ケスラー(David Kessler)
ホスピス・ケアのスペシャリスト。数百人の終末期患者と時を共にしてきた。著書にマザー・テレサに絶賛され、11ヵ国語で出版された「The needs of the Dying」がある。ロサンゼルス在住。