人間の一生には、必ずテーマがある。
一生におけるテーマが何であるのか、そのヒントを与えるのが『シンクロニシティ』という現象なのである。
全体像を見ることによって、一つひとつの現象の意味が明らかになるともいえよう。
シンクロニシティは、深層心理や無意識を通じて、日常に示される奇跡といってもいいだろう。
形のない深層心理や無意識が、はっきりとした形で働きかけてくる現象ともいえるかもしれない。
われわれは祈りの言葉で神に語りかけるが、神や自然が無意識を通じてわれわれに話しかけてきたとき、それがシンクロニシティという現象になる。
シンクロニシティによって示されたメッセージを正確に読み取ることは、天啓の導きとより高い目的意識を得ることにつながるだろう。
神と人間を直接つなげるもの、それがシンクロニシティだということがいえる。
自分を知るメッセージ
シンクロニシティを理解することは、われわれが何であるのかを理解することに通じるのだ。
自分がどこにいて、どの方向に進むべきなのか、そしてその理由が自然界全体をスケールとして示される現象ということができるだろう。
自然はシンクロニシティという現象を通して語りかけてくる。
体験者に送られようとするメッセージも、その内容はさまざまだ。
よってわれわれは、自分だけに宛てられたメッセージを理解し、人生をより広い視点から見つめ、自分の存在と自然との関係に意味を見出さねばならないのである。
瞑想はシンクロニシティに直結する
瞑想は感受性と認識能力を高めるだけでなく、それ自体がシンクロニシティに直結する場合もある。
瞑想の目的は、元来生命のリズムを整えることにある。
体内のリズムが整えば、おのずとシンクロニシティが発生しやすい状況ができあがるかもしれない。
興味があるものに没頭する
多くのシンクロニシティを体験しようとするのなら、自分が一番興味を持っていることに没頭すべきだ。
それが切手収集であれ、ラフティングであれ、興味が持てることこそがシンクロニシティを映し出す鏡となる。
あなたの人生を特徴づけ、他人の人生との違いを浮き彫りにするもの、それがシンクロニシティの発火点となるのだ。
人一倍の情熱を持ってあたれることがある人は幸せである。
意識の集中とともに、深層心理や無意識が発するエネルギーもそれに集中するからだ。
情熱を持ってあたれることがシンクロニシティの背景となるケースは非常に多い。
自分が追い求めることに邁進する生き方をしている人々には、創造主が直接祝福を与えるかのような感がある。
自分の心の一番奥底にある情熱に正直になることによって、自然界、そして創造主と同調することができる。
シンクロニシティを起こすのは自分が心に抱いている情熱だ。
情熱を持ってあたることのできるものがあれば、それをとことんまで追求すべきだ。
流れに身を任せる
シンクロニシティの感覚は、『流れに身を任せる』感覚である。
シンクロニシティを体験し、それに身を任せることによって、自分の内を外にある世界の深みを増すことができる。
現象自体がいかに不可解なものであっても、それは必然性があって起こったことなのだ。
森羅万象を創った存在が、シンクロニシティを通じて介在の証拠を示しているのなら、全宇宙と人間の細胞の一つひとつが直結していると結論することもできるだろう。
神と人間はまったく違った世界におり、離ればなれになっていると考えがちだ。
しかし実際は、神は宇宙にもいるし、それと同時に人体の細胞内にも存在しうるのである。
神との一体感
シンクロニシティは、個人が目に見えない世界とつながっていることを精神的本能レベルで確実に伝えてくる現象なのである。
精神的本能は魂に等しい存在だ。
魂に直接語りかけてくる体験は、何にも増して説得力があるだろう。
シンクロニシティという現象の存在を認めることによって、自分自身がすべての宇宙の一部であり、有機物も無機物も含めたすべての事象と深く関わっているのを認めることになる。
それは、神との一体感を認めることにもつながるのである。
答えはすべて自分の中にある
人生で何をなすべきなのか、迷ったときにはどうしたらいいのか、答えはすべて自分の中にある。
ごく簡単なテクニックを身につけるだけで、真に意図された人生が送れるようになる。
その過程において、自尊心や他者に対する愛も手に入れることができるのだ。
シンクロニシティ―「奇跡の偶然」による気づきと自己発見への旅 | ||||
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フランク・ショセフ(Frank Joseph)
シカゴ大学東洋研究員、シカゴ考古学研究学会員。93年より『エンシェント・アメリカン』誌主幹。95年、中西部碑文研究協会よりピクター・モースリー賞受賞。96年、日本ペトログリフ協会の招きによって初来日。92年にはじめてシンクロニシティを体験、これを契機に研究を始める。以来、800名以上におよぶ体験者のインタビューを行い、一方で古今東西の文献にあたって豊富に実例を集める。「その意味を解明することは自己発見につながる」という新しい視点でシンクロニシティ現象を論じたのが本書である。