人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
それでもなお、人を愛しなさい。
簡単には好きになれない人もいます。
中には我慢できないような人もいます。
しかし、それでも、私たちはそういう人を愛すべきです。
愛ほどすばらしい贈り物はないからですから。
愛という贈り物を与えてください。
何か良いことをすれば、隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
あなたが何か良いことをすれば、馬鹿にされるかもしれません。
それでも、あなたは正しいこと、良いこと、真実であることをしなければなりません。
そうすることによってはじめて、生きることの意味や満足を見出すことができるのです。
成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
それでもなお、成功しなさい。
成功すると本当の敵を手に入れることになるでしょう。
成功を恐れることはありません。
敵は、いつか仲間になり、友人になる可能性のある人と考えて、接するとよいでしょう。
今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
それが良いことだというただそれだけを理由にして、良いことをしてください。
あなたの善行は、あなた自身が生きる上での意味の源になってくれるでしょう。
正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
それでもなお、正直で素直なあなたでいない。
正直で率直にすれば、あなたは無防備になります。
しかし、無防備さが良い意味をもつこともあります。
他の人たちと心がつながりやすくなります。
無防備な状態は、新しい人間関係へのドアであり、新しい機会へのドアです。
最大の考えをもった最も大きな男女は、最小の心をもった最も小さな男女によって、撃ち落とされるかもしれない。
それでもなお、大きな考えをもちなさい。
大きな考えをもった大きな人々は、小さな考えをもった小さな人々にとっては脅威となる存在です。
大きな考え、夢を抱くことによって、あなたの人生には意味が生まれます。
方向性や努力するための目標を与えてくれます。
夢の実現に向かって踏みだす一歩一歩が、限りない意味と満足感を与えてくれるでしょう。
人は弱者をひいきにはするが、勝者の後にしかついていかない。
それでもなお、弱者のために戦いなさい。
人は弱者が大好きですが、勝者の後についていく傾向があります。
あなたがあなたであるというただその理由において、助けてあげるべきです。
人生の終わりに振り返ってみたとき、何人かの弱者のために戦ったことこそ、人生の中で最も意味のあることだったという結論を下すかもしれません。
何年もかけて築いたものが、一夜にして崩れ去るかもしれない。それでもなお、築きあげなさい。
何年もかけて築いたものが、一夜のうちに破壊されてしまうかもしれません。
しかし、築くことをやめてしまってはいけません。
築くことによって得られる喜びと意味は継続するのですから。
人が本当に助けを必要としていても、実際に助けの手を差し伸べると攻撃されるかもしれない。
それでもなお、人を助けなさい。
いたるところに助けを必要としている人たちがいます。
あなたが彼らを助けても、彼らはあなたを攻撃することもあります。
彼らが攻撃してきたからといって、助けの手を引っ込めないでください。
人が人生を向上させるお手伝いをすることによって得られる、生きることの意味を楽しんでください。
世界のために最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。
あなたが最善を尽くしても、人の羨望を買い、敵をつくることになるかもしれません。
しかし、何よりも高い唯一の代償は、最善を尽くさないことです。
最善を尽くさなければ、あなたは本来のあなたではないのですから。
あなたに与えられているのはいまこの人生です。
この人生を最大限に生かすこと、それがあなたの仕事です。
それでもなお、人を愛しなさい―人生の意味を見つけるための逆説の10カ条 | ||||
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ケント・M・キース Kent M Keith
1949年、ニューヨーク生まれ。ハーバード大学在学中に、高校の生徒会のリーダーたちを激励すべく150回以上の講演を行なう。本書の「逆説の10カ条」は、その活動の一環として出版した小冊子ではじめて発表された。その後、オックスフォード大学で哲学と政治学、早稲田大学で日本語を学び、ハワイ州立大学で法学博士号を取得。1979年よりハワイ州の経済企画開発局の要職を歴任し、同局長として州政府の閣僚を務めた。その後も私立大学の学長、YMCAのリーダーなどを務める